法学科

法の視点から問題を問い直し解決する力やより良い秩序を創造する能力を育成します

法律がない社会での紛争解決を想像してみてください。恐らく、何らかの意味で力の強い人の意向で決着するでしょう。そこでいう力とは、必ずしも腕力であるとは限らず、兵隊を雇う財力であるかもしれません。ヤクザ映画を想像してみてもよいでしょう。なかなかのdystopia(暗黒郷)です。何でもかんでも戦いで決める代わりに法律があります。まだ理想的な世界とは言えませんが、法律は、よりマシな社会を作るための知恵の結晶なのです。

特色1 法学科では法律を扱うためのディシプリンを身に付けます

法学は、法曹(弁護士、裁判官、検察官)だけのものではありません。国家公務員、地方公務員、司法書士、企業法務部員などがすぐに思い浮かびますし、NGOなどを通じて社会へ働きかけたり、普段の市民生活を過ごしたりする上でも、法学の素養は活用されます。法学科では、そうした素養を身につけるために必要な法学の基本的知識を習得します。学問領域ごとの基本的知識のことをdiscipline(ディシプリン)と言いますが、法学は、文学や社会学などと比べてディシプリンが確立しています。司法試験のような国家単位の試験が成立するのもこのためです。

特色2 法学科は基礎に裏付けられた個別的発展的学修も用意しています

比較的ディシプリンが確立している基本的知識の修得を確実なものにするために法学科では筆記試験のウェイトが大きいです。しかし、皆さん個々の関心に応じた応用的・発展的な学修のためには、予め答えが決まっている訳ではないことを演習(ゼミナール)などの少人数教育を通じて学ぶことが最適です。基本的知識の確実な修得を幹とし、個々の関心に応じた少人数教育による学修を翼として、専門分野に囚われない広い法的素養に裏付けられた問題発見能力・問題解決能力・紛争予防能力・制度構築能力を振るえるようになることを、法学科では目指しています。

特色3 法学科は法曹や公務員はもちろんのこと幅広い分野に人材を輩出しています

法学は法曹だけのものではありませんが、法曹を目指す学生については、法曹コースをはじめとした充実した体制を整えています。将来、法科大学院(ロースクール)へ進学する等、法曹になるための準備をします。また、国家公務員、地方公務員、司法書士、企業法務部員など法律に関係する専門職に就く人にとっても法学は不可欠です。民間企業でも、特に金融業(銀行、保険など)では法学が強く関連します。また分野を問わず、法学で培った力は必要とされており、公務員、民間、NGOと幅広く、法学科の卒業生は活躍しています。

こんな人に学んで欲しい
 
高校生の皆さんは「高校までは正解のあることを勉強するが、大学では正解のないことを勉強する」という話を聞かされていると思います。しかし、正解はなくても不正解はあります。司法試験のような試験が成立するのは、不正解の道を踏まずに正解の分かれ目となるところまでたどりつく能力を測っているからです。不正解の道を踏まないようにするためには地道に知識を積み重ねていくより他ありません。法学科で天才的なひらめきが不要というわけではありませんが、地道に努力できる受験生が法学科に向いているでしょう。

学生からのメッセージ

【私が法学科を選んだ理由】基礎から応用まで、法学の全体像を捉える総合的な学習環境

法学科3年次 O.H.さん

法学科は、法学の根幹を理解すると共に、法的思考力を身に付けることができる学びの場です。法律の意義や、制定された背景、実際の事例についても深く学ぶことで、より良い解決策はないかと、自分自身で考え、道を切り開いていく力を養うことができます。また、専門科目についてはすべてが学生の選択に任されているという特徴があり、自分の関心に合った授業を選び深く掘り下げ、専門知識を深めることができます。私はこの三年間で、刑法、憲法、民法などの基礎科目から、発展的な演習も多数履修することで、実践的な学習を進めています。特に、私が所属している『法教育実践』のゼミでは、民法を中心に法律の授業を作成し、中高生に法律を教えるという貴重な経験をしています。私自身、法学科での学びを通じて、多様な視点を学び、法学を基礎とした幅広い教養を身に付けることができていると実感しています。
お気に入りスポット
第一食堂の前にある芝生
広々した芝生は、キャンパスと自然の融合を感じることができる、お気に入りスポットです。この芝生で日光を浴びながらランチをしていると、心も体もリフレッシュできます。
1day Schedule

4年間のカリキュラム(2024年度)

※法曹コース希望者は2年次に進級する際に申請を行い、選抜で許可されることでコースの所属となります。※法曹コースについては、「法曹コース・早期卒業制度」をご参照ください。

教員からのメッセージ

変わりゆく社会に対応する、変わりゆく刑法の姿を学ぼう

深町 晋也 教授 Fukamachi Shinya
主要担当科目 : 刑法


刑法とは、どのような行為が「犯罪」であり、それに対してどのような刑罰を科すべきかを規定する法です。皆さんも、「殺人罪」や「強盗罪」といった犯罪については聞いたことがあるでしょう。こうした犯罪は古くから存在し、それが「悪い」行為だということについては一定の共通認識があります。それに対して最近は、ありふれた日常生活の中に潜む様々な問題事象について、刑法で対処しなければならないのではないかという声が強まっているのです。

例えば、好きな人に何度もメールを送信したり電話を掛けたりするとか、嫌いな人についてインターネット上で悪口を書き込むとかいったことは、決して珍しいことではありません。しかし、こうした行為は度が過ぎれば相手に対して大きな不安感や精神的損害を与えることにもなります。それでは、どのような場合には「度が過ぎる」行為として「犯罪」にすべきなのでしょうか。そうした問題は、日本だけではなく様々な国で今まさに大きな議論の的になっているのです。

また、家庭の中で起こる、従来あまり意識されていなかった問題事象についても、最近は大きな関心が寄せられています。例えば、親が子に対して体罰を加えることは、数十年前であれば(良くないことですが)「当たり前」とされていましたが、今では民法上も禁止され(民法821条)、刑法でも重要な問題と考えられています。家庭は家族構成員を守る場であるはずなのに、むしろ「犯罪の温床」となるリスクを常に有しているのです。こうした家庭内の犯罪は、今後、ますます重要な問題領域となるでしょう。講義やゼミの場で、皆さんとこのような問題を議論し、解決の糸口を探っていきたいと考えています。

お使いのブラウザ「Internet Explorer」は閲覧推奨環境ではありません。
ウェブサイトが正しく表示されない、動作しない等の現象が起こる場合がありますのであらかじめご了承ください。
ChromeまたはEdgeブラウザのご利用をおすすめいたします。