政治は変わる。ヨーロッパにみる政治の可能性
小川 有美 教授 Ogawa Ariyoshi
主要担当科目 : ヨーロッパ政治論
日本の若者には(若者に限りませんが)、政治は変わらないもの、変えられないもの、と考える人が少なくないといわれます。しかしヨーロッパの政治の発展をたどるならば、それまでにありえなかったことが起こって、国家や社会が変わってきたことがわかります。ヨーロッパの政治を学ぶことは、世界各国の政治についての知識を広げるだけではありません。政治にどのような可能性があるのかを知ることといってもよいでしょう。
サッカーで知られるように、ヨーロッパの各地域には「国民国家」とは違うアイデンティティが蘇ることがあります。また「大国」であるのが幸せかというと、必ずしもそうではありません。北欧やオランダのようにスモール・オープン・エコノミーと呼ばれる中小国の経済・福祉・男女平等のパフォーマンスの高さは世界で注目されます。そして何世紀も戦争を繰り返してきたヨーロッパの歴史の中で、「欧州統合」は経済共同体を創り出すだけでなく、平和な空間としてのヨーロッパの実現と大きくかかわっています。
ただしヨーロッパで民主主義と人権が右肩上がりで発展してきたわけではありません。民主化が妨げられる現実(とりわけ女性の政治参加は男性よりはるかに遅かったのです)、ファシズムのような現代社会の野蛮、グローバル化の中での格差拡大や外国人排斥、こうした危機が次々と起こってきたのがヨーロッパの政治です。
なぜそんなことが起こるのか、授業を通じてイギリス、フランス、ドイツ、北欧、南欧、中東欧など各国の政治と、EUによる統合の試み、そして政治学の理論のおもしろさを学び、政治のもつ広い可能性を新鮮な思考で考えてみてください。